声優のセリフの作り方
声優になる上で、セリフを言わない場面はありません。そこで今回はセリフを構成するうえで重要なポイント、またそのうえで気を付けるべきポイントをお教えします。
セリフといっても様々な分類ができます。恋愛、スポーツ、日常、洋画風…などなど。
そのうち全てができるべきかといわれると、できるに越したことはないけれども、全てである必要はない。全部が80点では正直意味がありません。これだという強みが、100点以上とれるというものがあるほうが、声優としては正解です。
とはいえ、最初は声優になるといっても、自分がどういったタイプに向いているのかを知るのは結構難しいです。ですから、わからないうちは、様々なセリフを分析し、実際にやってみることが重要です。
自分でやっていくうちに、やりたいもの、やりたくないもの、また、できるもの、できないものが徐々に見えてきます。また、学校などに通ったり、声優になりたいもの同士で練習していくうえで気づくこともあります。
では、セリフの構成を考えます。
セリフは30秒程度のものを想定します。
【身を固めるのはずっと先だと思っていたよ。正直もうしばらく…数年自由気ままに遊んでいたい、ってね。でももっと重要な、大事にしたいものが見つかったんだ。愛情や責任なんて思いだけだった以前が嘘のようだよ】
ではこれを例に考えてみます。
まず大前提で5W1Hを基本に、セリフを発する人物の詳細設定を決めていきます。
例えば
when…夕方5時、秋
where…地元のなじみのある海がみえる岸部
who…自分(25歳)が親友に対して
what…このセリフ、すなわち告白
why…告白するタイミングが来たから
how…黄昏ながら
これはあくまで、JiNの想像したセリフの詳細であり、別に何でも構いません。
但し、的外れすぎる設定だと、セリフの聞き手にとって伝わりづらいことがあるため、それだけ技量が必要になることを忘れてはいけません。あくまで自分がやる上でしっくりくる設定を考えましょう。
つぎに、文章で考えます。上記の文をABCDの4ブロックに分けていきます。
A【身を固めるのはずっと先だと思っていたよ】この部分は過去と現在をふりかえり、話を切り出す場面です。いわばセリフの起承転結の起です。
B【正直もうしばらく…数年自由気ままに遊んでいたい、ってね。】ここは自分の本心に迫る部分、黄昏感を演出します。起承転結の承です。
C【でももっと重要な、大事にしたいものが見つかったんだ。】ここは前文の本心を打ち明けたことに対する、自分の意見が変わった様子を表しています。起承転結の転ですね
D【愛情や責任なんて思いだけだった以前が嘘のようだよ】これでセリフの〆を行うわけです。結論をのべているわけですから、最終的な感情を表します。
ではこの条件をもとに、ABCDの部分の話し方を考えます。
Aは切り出すわけですから、思い切りを大事に緊張感をもって話し始めます。
Bは従来の本心を言うので、大切に、言いづらいことを打ち明かします。
Cは考えが変わるので、声の起伏を変え、自分の決めた道がBとは違うが、明るく話す
Dは結論ですから、自分の決めた道に向かって力強い決心を持つ。
これでセリフを言う準備ができました。
わずか30秒程度のこの程度のセリフでさえ、これだけのことを考えなければいけません。これでも簡略化していることを忘れないでください。もっとセリフに関して深く考える人は多くいます。これで何とか言えるレベルです。
前後の部分を考えたり、相手のセリフを考えることも大事です。
この告白に踏み切る自分は、相手からどういったふりがあって言ったのでしょうか。
無言?それとも「こんなとこに呼び出してどうした?」とかいわた?
それとも、いろんな会話の中でふとしたときに言いはじめる?
はなし始めのパターンだけでもこれだけ考えられます。
セリフとセリフの間もだいじですが、これはまた長くなりますので別タイトルで出します。
そして、セリフ後の相手の反応を考えます。
こうすることで、セリフが初めて、ある物語のワンシーンを切り取ったものだということが分かります。
セリフの構成と気を付けるべき点についてお話ししましたが、少しでも理解いただけたでしょうか?セリフはものすごく繊細ですので、よく考えてみることが大事です。
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