声優の舞台・表現の幅・練習
声優という職業は声で何かを発信する職業ですので、普通に考えると舞台とはあまり関係ありませんよね?しかし、舞台の大切さは実際に声優になるとわかります。
今回はその大切さの理由について述べていきますね。
声優は声でものを発信しますが、声というのは口先だけの演技ではどうしても表現できない難しさがあります。たとえば、真正面からパンチをくらった、横っ腹にパンチを食らった、この時のアクション(大抵アドリブでいれます)は当然のように変えなくてはいけません。
みぞおちにパンチをくらうのと、腎臓にダメージをくらうのとでは、表現が違うのは当たり前だからです。ボクシングなんかでもよく言いますよねジャブはジワジワきいてくると。ですから、同じ表現ではいけないのです。これを声優は「声」のみで表現する必要性があります。
では、具体的にどう変えるのか…それは体を使って、実際に疑似体験をしてみることです。例えば真正面からみぞおちに食らった場合、からだを前のめりにし、苦しみの声を出します。
では横から食らったときはどうでしょう?そうです、体を横のめりにしながら(体をねじる感覚でしょうか)発声するのです。
ただしこのときマイクから声が離れては声優としてまだまだです。ですから、舞台というピンマイクをつかったものに出ることで、しっかり音声を拾わせながら、疑似体験もしつつ、その声の出し方を習得していく必要性があるのです。
距離感も必要になってきますね。私たちは日常生活において、1m先の人、5m先の人もっともっと遠くの人と会話するさい、必ず声のトーンや響きを変えています。それも、ごく自然にです。
声優はマイクに向かって話しますが、マイクに吹き込む声は絵の中の登場人物らの声です。当然、絵の中にも距離はあるのですから、距離感が常にマイクにむかってではなりませんね。
これがアフレコの難しさであり楽しさでもあるのです。
声優になれば必然的に舞台経験を積まなければなりません。中にはかたくなに舞台に出ないような人、舞台を見に行かない人もいますが、それではなかなか成長しないでしょう。
声優は個人事業主です。自分の商品である声に磨きをかけるには舞台はうってつけなのです。舞台とまでいかなくとも、どんな些細なセリフであってもその前後のシチュエーションを深く考え、そして実際に動きながら練習するのが効果的です。
声優仲間が数人いればなお心強いですね。その数人でどこか場所を借りるか、手っ取り早くカラオケなんかにでも行き、そこで実際に動きながら練習すると非常に効果的で、効率の良い練習ができます。
また数人でやることで他人の良いところ、悪いところを指摘しあい、切磋琢磨することもできます。
こういったことから声優の舞台経験がどれだけ大切か分かったではずです。舞台に出なくとも、声優になる(目指し始めでも)と自然と舞台鑑賞の招待をうけるので、それを見に行き刺激を受けるだけでも自分のためになります。
声優の演技は奥が深いですから、表現の幅を広げるために、ぜひ舞台ないしはじめは舞台鑑賞をやってみてはいかがでしょうか?