声優が失敗して何が悪い
声優はプロとしてお金をいただいている。そこには、仕事としてのプライドを持たなくてはならないし、仕事は責任も負う。だから、失敗するのは怖い。
いってることはわかるし、至極当然なわけだけれど、本当にそれでいいのでしょうか?
失敗しない話し方というのは、言い換えれば「誰でもできる」話し方なわけです。
声優が仕事を得続けるのに、失敗という小さな出来事で躓いてしまってはそれまでです。もちろん失敗し続けるわけにはいきません、時間は有限ですからそれは世の常です。
ですが、失敗するというのは挑戦したということの結果です。挑戦し続け進化し続ける役者でなければ、この業界で生き抜くのは無理です。というのも、声優として食っていくのは、前にもお話した、日俳連によるランクの適用がされたうえで、そのランクが上でなければかなり厳しいからです。
とはいえですよ?いつも無難なことをして、たしかに仕事はできるのだけれどこれという特徴のないAさんのギャラが一本(30分アニメ)ギャラ3万と、かたや、毎度毎度リテイクするはめにはなるが、制作陣にない発想をもってきてくれるBさん(1万5千)であった場合、収録に余裕があればBさんが使われる可能性が高いですよね?
かりに、能力が逆だとしたら、制作陣もなやみますよね。ギャラが安くて無難vsギャラが高いけど、制作陣からしたらおもしろい発想を毎回持ってきてくれる人。
声優として作品に出たいだけであれば、無難声優でもいいでしょう。しかし、声優として主役であったり、冠番組がもちたいとかあるのであれば、特徴づける以外に選択肢はありません。
挑戦するということは、その道の開拓者になるわけですから、最初は必ず批判されてしかるべきなわけです。とはいえ、それが面白いわざであったり、その人にしかできないもので、ずっぽりはまる作品とであったら、化学反応がおきて一気に爆発的に売れる構図が出来上がります。
たとえば、若本規夫さんがそうだと思われます。若本さんは正直業界内で好き嫌いが分かれる(もちろん人間だれしもそうですが)方です。しかし、昨今のTVでのご活躍には目を見張るものがありますよね。
若本さんがあぁいったナレーションしかできないと思うのは、ナンセンスです。若本さんのボイスサンプルを聞けばわかりますが、ストレートナレーションもバリバリにできます。
つまり、若本さんはあの独特なナレーションを現場や、飲みの場などで披露し続けたのです。その挑戦も最初は苦労されたでしょうが、今となっては大成功、若本さんの独特なナレーションがやりやすい原稿が最初から作られているわけです。
こうなれば食えるわけです。言うは易く行うは難しではありますが、失敗するのが怖いなら、はっきり申し上げて声優に向いていないので、やめて正社員でも目指せばいいです。
ちなみに私は、最初は怖くなかった失敗が、徐々に徐々に演技をすることで、精神的に追い込まれ、失敗が怖いという状況に陥り、現場を退くことになりました。
知らないからできること、知っていくうちにできないことが増えるというのは、当然のようで、きついです。ここが乗り越えられるかどうか、メンタルケアも大事です。
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